ラヴジョイ彗星 (C/2011 W3) のページ by ラクダおやじ


2011年12月20早朝撮影 気温7度
いやぁ、生き残りましたね。
まさか直径200メートルの彗星が、太陽の表面まで12万キロにまで接近したのに、良くぞ生き残りました。おおかたの予想では、全て解けて消滅するだろうとのことでしたので、まさか生き残って毎日出撃する事になろうとは思いもしませんでした。
夜明け前の南東の空、薄明が始まって1時間以上も経ってからの撮影ですので大変厳しい条件でしたが、何とかなりました。
機材はCanon Kiss X2 SEO-SP2(赤外カット改造)にトミーテックのBORG77EDII+EDレデューサーF4DG、ISO400、露出1.3秒、赤道儀で念のために追尾



2011年12月21日早朝撮影 
すんごい事になってまいりました。彗星の尾が画角からはみ出しているようです。機材は前日と同条件で撮影しておりますが、もしかして前日よりも尾が成長していませんか?またまた南半球に大彗星の出現です。
横たわる邪魔な雲を抜けてきた彗星核を狙って撮ってみました。ボーグ望遠鏡での撮影です。それにしても淡いですね。薄明が始まってから随分経ってからでしたし、下の写真を見て頂ければお分かりになるように、黒い雲が邪魔でしたね。それでもNASAが運営するSpaceweather.comのTOPページに飾って頂き光栄でした。

この写真は後日もう一台のカメラで念のために撮っておいた中に発見したカットです。ちゃんと尾が写っていました。雲に挟まれた状態で、良く撮影出来たと思います。執念の一枚であります。



2011年12月22日早朝撮影 
撮影地に到着し、赤道儀などのセットアップを進めていくうちに、あっという間に低い雲に覆われてしまいました。地平線スレスレまで見えていた景色が変貌してしまい・・・と落胆していたら、目を疑うような光景が飛び込んできました。
そう、彗星はまだ地平線の下で、高度15度くらいまで雲に覆われているのに、なんと尾が見えてきたのです。
長玉レンズで待ち構えていたので、慌てて直焦点からレンズでの撮影に変更。地平線の下に彗星核があると推測して、なんと50ミリレンズでないと全体が入らないだろうと推測。1986年に戻ってきたハレー彗星を撮影するために買ったペンタックスLXを買った時に同時購入したSMC Aレンズの50ミリF1.4を取り付けました。25年前のレンズでっせ。



2011年12月23日早朝撮影 
そしてこの日がやって来ました。ニュージーランド南島の殆どが雲に覆われ、約5年前の再現となるところでした。約5年前、マクノート彗星が途轍もない尾を棚引かせている時に同様の出来事が起っていました。厚い雲に覆われ、何処に行っても晴れ間はないだろうと諦めていましたが、とりあえず可能性のある所に向けて車を走らせました。しかし、2007年1月下旬のその日は、晴れ間が出てくれずにいたのですが、今回はやりました。
なんとそこだけ晴れてくれたのです。そして慌てて赤道儀を組み立てて撮影の準備。一枚目を撮ったのは午前3時12分。薄明開始から11分が経過していました。しかし、彗星の明るさに助けられて撮ったのがこれらの写真です。
Kiss X2にペンタックスの50mmレンズを取り付けて撮りました。地平線まで見渡せる所まで着て良かったの一言です。


これはいつものボーグ望遠鏡にカメラを取り付けて


50ミリレンズを横構図で撮りましたが、時間との戦いの中で、良くも落ち着いて撮れたものだと思います。まあ50を前にして、少しくらい落ち着いてきたのか、はたまた体が動かなくなっただけなのかは分かりましぇん。



2011年12月24日早朝撮影 
ラーニーニャに戻った影響は止まらず、日中の気温は例年よりも高く、その為か夜間に雲が出てきてしまう状況です。家の周辺は雲が多かったので、今日も車で晴れ間を求めて動くことにしました。と言っても1時間も走れば晴れ間が見つかりましたが、今日も薄明開始と赤道儀架台のセットアップの競争となりました。
やっと一枚目の撮影を始めようとしたら、そこにも雲が出現。ラニーニャは好きくないです(笑)。
上の写真は50ミリレンズで撮ったものですので、前日撮影の一枚目と尾の長さを比べることが出来ます。24時間でかなり長くなりました。

そして横構図で撮るために、タクマーという化石レンズ(28ミリ)を登場させてしまいました。薄明が始まってしまい、雲も多くて残念でした。



2011年12月25日早朝撮影 
メリークリスマスでありますが、私は晴れ間を求めて彷徨い歩いておりました。雲が多くて数時間前の星ツアーは中止になり、このまま夜明けを迎えるのかと思いきや、気象衛星の写真を見ながら、その雲の動きから薄明前に晴れ間が出ることを確信。ある所に陣取っておりました。最初は12月20日、21日の場所に行こうかと思ったのですが、そこは雲に覆われてきてしまい、今回初めてスキー場の駐車場からの撮影となりました。
28ミリレンズでの撮影です。前日の写真と見比べて下されば、その尾の長さが伸びているのが判ると思います。それまではキレイに晴れていたのに、彗星核が出て来る頃から雲が出てきてしまいましたがご愛嬌ということでお許しを。



2011年12月26日早朝撮影 
さあ今日は一転、天気も良くなり、スターウォッチングツアーも盛況の内に終わり、家で遅いランチ(笑)を食べてからの出撃でした。この日から彗星核は一晩中地平線に沈まない周極星となり、5年前のマクノート彗星を撮影していた時の状況と同じになりました。
当時は違うカメラを使っており、今回のように赤外カットフィルターを外した改造カメラではありませんでしたので、南十字の上に写っている赤色星雲エータカリーナの色も紫色に脱色させられていました。しかし、今回は古いながらも改造カメラでの撮影ですので、赤い星雲もお楽しみ頂けていると思います。
28ミリレンズでも尾がはみ出してしまいそうだったので、いきなり15ミリで、しかも縦構図であります。
尾はさそり座にありますが、その末端はケンタウルス座まで伸びています。写真右上の白いものは宇宙戦艦ヤマトで有名な大マゼラン星雲であります。写真中央やや左手の黒いのが石炭袋星雲、通称コールサックで、その左が横たわる南十字星であります。

そしていつもの28ミリレンズでの撮影です。しかし、尾がはみ出ていそうだったので、この下の写真で念のために縦構図でも撮影しています。中央上部の明るい星がケンタウルス座のアルファ星、リギルケンタウルスです。

その縦構図ですが、やはり28ミリの横構図では尾がはみ出していた様です。やはり念のために・・・は重要です。見事な姿です。尾の長さも約30度あります。ケンタウルス座の前足付け根の星辺りまで伸びています。

そして思い切って50ミリレンズに戻してみました。縦構図でも尾が収まらない状態です。誰がこの様な姿になる事を想像したでしょうか。温度が100万度にもなるコロナの灼熱地獄を耐え抜いて、溶けて消滅もせず、夢のような姿を見せてくれています。気温が高かったので、少しノイズが多いですね。ラニーニャの影響で夜も暖かいのです。

最後は10ミリ対角魚眼レンズでの撮影です。薄明も既に始まっており、遊び半分で撮ったものですが、彗星の尾よりも長い大きな流れ星が写っていますね。当の撮影者は余所見でもしていたのか、この流れ星を見ていません。南十字星の所まで流れていますね。



2011年12月27日早朝撮影 
いやぁ天気が安定しません。今日もスターウォッチングツアーの担当となり、殆ど雲のない状態で催行決定を下したのですが、お客様を連れて現地に戻ってみたら、大切な南の空にだけ雲が居座り、オーロラの解説と北の空の案内を終えても回復せず。結局、その日が最終日の女性一人を連れて、場所を全く違う方面に移してみた所、長年の勘が当たり、徐々に南の空から雲が消えうせ、結局2部制になったツアーでしたが、最後までやり終えました。
そこからお客様をホテルにお送り帰宅してから出動しました。またもや作業中に突然の雲が出てきて尾を隠す状態に。ご愛嬌で許して下さい。もう28ミリの横構図では尾が入りきれないので、いきなり15ミリレンズであります。尾が天の川と重なって見え辛いですが、よく見ると南十字星の直ぐ左下まで伸びており、尾の長さは40度に達しているように見えます。

思い切って10ミリ対角魚眼レンズを使ってみました。欲張りなので沢山入れて撮りたくなるのです。右上には2つの白い雲であるマゼラン星雲、左手下方にはおとめ座のスピカとその下に火星。そしてそろそろ白み始めてきた空に天の川と彗星です。

そして今回の中で一番尾が長く写っている写真になると思います。28ミリレンズの縦構図で丁度のサイズになりました。46年前に出現した同じクロイツ群の池谷・関彗星の尾の長さは何度まで伸びたのでしょうね。



2011年12月28日早朝撮影 
いやぁ、この日も雲が多くてツアーはキャンセルになり、彗星もダメかなぁと思っていたのですが、前日の尾の長さを見たら居ても立っても居られなくなり、、気象衛星の連続写真と「にらめっこ」をしたら、南島のある内陸部だけが雲がかかっていないように見えたのです。気が付いたら愛車のオンボロスポーツカーに撮影道具を乗せて、車を既に走らせていました。目的地は車で70分くらいの所でした。
予想は的中。現地に着いた時はピーカンに晴れており、今回もセッティング中に雲が出てきましたが何とかなりました。薄い雲に覆われていたので、水蒸気のために星が丸く写っていますね。フィルターを取り付けたみたいになってしまいました。南十字星に尾が届いているかを知りたかったのですが、これじゃ判りませんよね。15ミリレンズ。



2011年12月29日早朝撮影 
この日も夕暮れ時は雲が多くヤキモキさせられましたが、彗星が軽く上って来る午前2時前には遥か南の空に快晴域が見えたので、そこまで40分車を走らせました。辺りは全くネオンもなく、また空気もキレイに澄んだ所です。牛の雄たけびが周辺に響き渡っていました。臭いも「田舎の香水」100%で、撮影しながら複雑な気分になりました。
1等星リギルケンタウルスをかすめながら伸びる尾は圧巻であります。その先に石炭袋星雲、通称コールサックと呼ばれる暗黒星雲がありますが、そこまで尾が伸びている様な感じです。天の川と尾が重なってしまい、鑑定するのは難しいですね。28ミリレンズ。

そして15ミリレンズの縦構図です。尾を引き立たせるために、少し白く現像してみましたが、依然判りにくいですね。しかし、改造カメラで撮っているので、2つの赤い星雲、バット星雲、エータカリーナ星雲も赤色の発色が死んでいません。

こちらは10ミリレンズです。上方の明るい星がカノープス。東京湾で高度3度にしか上がってこない2番目に明るい1等星です。北緯35度線前後にお住まいの皆様は、カノープスの下でこの様なドラマが繰り広げられていると想像出来られますでしょうか。2つのマゼラン雲も地平線の下なのですね。

そして恒例の50ミリレンズでの撮影です。実際の尾の長さはこの1.5倍はあると思われますので、途中で切れています。左上の明るい星がケンタウル座のα星であるリギルケンタウルスです。大きな彗星の姿です。



2011年12月30日早朝撮影 
この日も夕暮れ時に雲が出て、星ツアーは45分遅れで出発しました。ツアー終了後、直ぐに撮影体制に移行出来るように予め全ての撮影機材を積み込んでおきました。またこの日は高速太陽風が押し寄せてくる可能性がありましたので、南の空が開けている所に陣取りました。
この写真は南南西の空に白い光柱が見えたので、オーロラかどうかを見極めるために、お客様の目の前で三脚での固定撮影で撮ったものです。やはりシャッタースピード30秒では露光不足でしたが、赤色と紫色のオーロラの中に彗星の尾が溶け込んでいる姿が見えます。中央下部に尾が見えています。

お客様をホテルに届けた後に帰宅せずに撮影地に。今回はほぼ毎日違う場所で撮影したのですが、セットアップ中に雲がヒョロヒョロと湧き出てくるのは恒例に。

尾を目立たせるためにギラギラに現像してみましたが、右下に淡いオーロラも写っていますね。右上の明るい星カノープスは本当に美しい。日本では赤く写るのが可哀想になってくるくらい。

最後はまだ居残っていたオーロラに露出を合わせて現像してみました。右手の明るい星はエリダヌス座のアケルナル。その左に小マゼラン星雲。地球までの距離が20万光年。もちろん肉眼でハッキリと確認出来る。



2011年12月31日早朝撮影 
大晦日でありますが、昨晩から星ツアーは車3台での催行となり、しかもその後に天体撮影ツアーもこなす忙しい一日となりました。この写真は、お客様が撮影されている隣でち〜とお時間を拝借して撮ったものです。ちゃんと追尾されて写っていると思います。
この日は撮影場所の選定に苦労しました。予定していた場所が曇っていたので、晴れ間を求めてスキー場に陣取りましたが、街明かりもご参加下さり、撮影ツアーは翌日に延期になりました。その時に念のために撮っておいた一枚です。
久々に50ミリレンズを取り出してきて、いつもとは違う構図で撮ってみましたが、彗星核が雲に囲まれそうになっていますね。しかし、天の川と何気に一緒に写っていたりなんかして、年内も長い尾が見えていました。



2012年1月1日早朝撮影 
皆様明けましておめでとうございます。ところが、新年から忘れ物であります。いつも天体撮影に使っている改造カメラ(Canon Kiss X2 SEO-SP2)を自宅に忘れてきました。年明け早々、年齢を感じる出来事が発生しましたが、f.64のカメラバッグには常時3台のカメラが入っており、日中撮影用のペンタックスを使わざるを得ませんでした。
それにしても酷い画像です。ISOも半分の800で、ノイズリダクションもONにしてあるのにこのノイズです。唯一救われるのは、そのノイズのお陰で、尾の長さは強調されたみたいです。バット星雲も赤くないし、寂しい新年を迎えてしまいました。



2012年1月2日早朝撮影 
気を取り直して「いつものカメラ」で復活です。こちらはISO1600でノイズリダクションOFFです。前日のノイズ画像に影響されたのか、現像時に少々ギタギタに焼き過ぎた感が否めませんが、その辺りはお許し下さいませ。
いつものボーグ望遠鏡で撮影していますが、彗星核はほぼ崩壊してしまったようで、次回の回帰がなくなってしまったのではないかと思います。太陽表面まで12万キロに接近したのですから仕方がありません。

それでも懸命に夜空にその痕跡を残しています。天の川からも離脱しつつあり、その尾の長さがまだこんなにある事に驚かされました。尾の長さも25度はあり、その先端はあの「はえ座」まで伸びているか、若しくは突き抜けていますね。

彗星核は「さいだん(祭壇)座」にあり、徐々に南下し続けています。翌日には「みなみのさんかく座」に入ると思われます。このショットは初めて湖を入れて撮ってみました。写真下部は母なるワカティプ湖であります。対岸の照明は、牧場のものです。

星だらけで不親切だと思い、天体の名前を書き込んでみました。カノープスもアケルナルも一緒に入れようと、カメラを左に傾けて撮影しています。沢山の天体が写っていますね。日本では聞き慣れない名前が並んでいますが、皆様はどこまでご存知でしょうか。

そして基本に戻って50ミリレンズを使ってみました。12月23日撮影の写真と比べてみて下さい。その時よりも尾は長いですが、大変淡い天体になってしまいました。しかし、これだけ楽しませてくれた事に大変感謝しています。本当に南半球に住んでいて良かったと思いました。尾は「みなみのさんかく座」を貫いていますね。



2012年1月3日
この日はとんでもない強風が吹き荒れ、撮影地の選択を一時は誤り、風のない所を求めているうちに東の空に山がある所にたどり着きました。側には違法で野宿をしている車もありましたが無視してセットアップを始めましたとさ。
前日と同様の構図ですが、彗星核は日に日に南下しており、とうとう「みなみのさんかく座」に入りました。尾は天の川から離れてきているのですが、依然かなりの長さを保っている様に見えます。

その尾の長さですが、この写真で見る限りでは末端がエータカリーナ星雲の右隣まで伸びていると見るのは、少し大げさでしょうか。もしそうなれば尾の長さは37度もある事になります。

そして今日のスペシャルです。10ミリ対角魚眼レンズを天頂に向けて撮りました。逆さまのオリオン座から彗星までを捕らられました。強風の影響で、地平線近くは砂塵でも舞い上げられているのか、少々茶色いですね。日本の皆様の地平線下で発生している現象をご覧頂いております。

本日最後は直焦点での撮影です。12月23日撮影の写真と比べて頂きたいのですが、ずいぶんと淡くなってしまいましたね。氷の固まりもほぼ崩壊したように見えますが、まだ残っているようです。次回の回帰は数百年後だと聞いていますが、その時はどの様な姿を見せるのでしょうか。



2012年1月4日早朝撮影 
この日はどこも雲が厚くて、天頂付近に少し星が見える所まで出向いてみましたが、赤道儀も組み立てないでおりました。結局、全ての機材を積んで出撃してしまいましたが、雲の向こうで何か起こっていないかと心配になりました。まるで親の様ですね。

我が家にも10歳と8歳の大和男児がおりますが、未だにサンタクロースを信じている可愛い二人であります。その二人が好きなのが、サッカーアニメのイナズマイレブンであります。現在はその続編にハマッテおり本人達もサッカークラブにも属していますが、アニメの様に上手くはいきません。

この彗星も我々の予想に反して素晴らしい姿を見せてくれていますが、全く期待しなかった方が好成績を生むものなのかもしれません。私も子供たちの行く末を静かに見守りたいと思います。サッカー選手になろうが、私の跡を継いで満天の星に関わろうが、私がしたように海外に飛び出してしまおうとも。



2012年1月5日早朝撮影 
来ました来ました。2つのマゼラン星雲との3ショットであります。写真中央辺りが天の南極で、4日後に再接近します。
大マゼラン雲に最接近するのは1月中旬ですので、それまで尾があれば、星雲を串刺しにする姿も有り得るかもしれません。北半球の皆様には申し訳ありませんが、毎日楽しませてもらっています。28ミリレンズ。

これは15ミリレンズを使っていますが、そろそろ画像上部に赤い大きな部分が見えてきました。通称ガム星雲。コンポジット用に何枚も撮ってあるのですが、時間がなくて240秒露出の写真一枚でお許しを。



2012年1月6日早朝撮影 
さて、今回の大イベントも最終日です。月が沈んでから天文薄明が始まるまでに30分しかありません。最終日も湖沿いにやってきましたが、街中と違って風が強く、少し重たい写真になってしまいました。
南十字を突っ切る光体は人工衛星ですね。そして彗星もかなり淡く薄くなりました。しかし、この日も眼鏡をかけて視力1.5の私には肉眼で見えており、15日に数分間確保出来る暗夜まで暫し休憩であります。

12月18日から毎日出撃してきた今回の大彗星撮影も一旦休止であります。1月4日の朝以外は毎日撮影が出来る幸運にも恵まれましたが、中には片道222キロを走った日もありました。日中の仕事が一年で一番忙しい時期と重なりましたが、今回も完走することが出来ました。

お陰様で、現地に着いてからの赤道儀セットアップ時間が大変早くなり、相変わらず適当に三脚を置いただけなのに、極軸望遠鏡には「はちぶんぎ座の台形」が毎日導入されております。極軸合わせ選手権とかあったら、かなりの成績を残すんじゃないかと思いますよ。そんなのないけど

皆様とは、暗夜が確保出来る1月15日以降にまたお会いしましょう。それまで暫しのお別れであります。

さて、これでやっとゆっくり眠られる。



2012年1月9日早朝撮影 
突然ではありますが、天の南極に接近する彗星です。予想はしていたものの、まさか本当に近付くとは思いもしませんでした。月明かりがあるので、1月6日早朝の撮影をもって一度休憩するつもりでしたが、この状況は珍しいので固定撮影で挑戦です。15秒しか開けていません。
いつも見慣れた「はちぶんぎ座」の台形、向かって左下の星と彗星核が重なっている様に見えます。そして、尾が天の南極をほぼかすめています。天の南極に近いのと、満月の夜なので、赤道儀による追尾は無駄だと考え、なんと自宅の庭に三脚を立てての固定撮影であります。レンズは50ミリで、右下に見えている黄色いのはナトリウム灯に照らされた緑色のポプラの木であります。

この調子でいくと、大マゼラン星雲に突き刺さる尾が見られるかもしれません。お楽しみに。



2012年1月14日深夜撮影 
皆様、たったの五日ぶりでございますが如何お過ごしでしょうか。私は上の写真で満月でも尾が写ったので、もしかしたらまだまだ長い男が残っているのではないかと思い、予定よりも1日早いのですが、赤道儀の極軸を合わせて見ました。

ご覧の通り、大マゼラン星雲に接近するラヴジョイ彗星ですが、よ〜く見て下さい。左上に伸びている尾が、星雲を串刺しにして突き抜けています。私の予想通りになっており、少々驚きました。
この写真、普通に現像すると星雲に尾が少し垂れ下がっているようにしか見えませんでしたが、この様に尾を際立たせるようにして処理を行うとかなり白っぽくなってしまいましたが、星雲の左上にも尾が見えており、星雲を突き抜けている姿が見えてきます。

レンズは50ミリを使っており、12月23日の写真と比べて頂くことが出来ます。それと比べると尾は淡くなってしまいましたが、尾はその時よりもまだ長い様です。


そして彗星核のアップです。過去のドアップ写真と同じ望遠鏡を使っているので比較して頂けると思いますが、まだ彗星核が残っているみたいですね。どれだけ崩壊したかは判りませんが、300年ほどで戻ってくるそうですので、その際も楽しむことが出来るのではないでしょうか。



2012年1月15日深夜撮影 
連日の悪天候で、その雲間を狙って撮ったのが左上のカノープスを入れて撮ったこの写真です。薄雲がユラユラと漂っており、尾が見え辛くなっているのが悔やまれますが、良くご覧下さいませ。
尾は、その1等星カノープスを突っ切って、まだ後方に伸びているのではないかと思われます。今日も尾を目立たせる処理を行っていますので、全体的に白っぽくて申し訳ないのですが、尾の長さが十分に判る写真になりました。
カノープスまで尾が伸びているという事は、カノープスが見えれば尾が写せるかも知れませんよ。日本の南部にお住まいの皆様、地平線低くて大変だとは思いますが、試しにカノープス近辺を追尾撮影されてみては如何ですか?カノープスが赤く見える地域は難しいかも知れませんが。カノープスは太陽の65倍の大きさのある白色巨星に属する星ですので、赤く見えるのは相当大気の湿気や不純物が影響している可能性があります。
ちなみにこの写真は、50mmF1.4レンズをF2.8まで絞り、ISO1600で2分間追尾したものです。ご参考までに。



2012年1月16日深夜撮影 
今日は覚悟の上で月光下での撮影ですので、より白っぽくなっておりますがご勘弁下さいませ。星ツアーで喋り過ぎ長くなってしまいました。その頃には月が昇ってきており、それでも天の川もキレイに見えているので、帰宅せずに赤道儀を組み立ててみました。
長い尾はどこまで伸びているのか判らなかったので、とうとうこんな構図になってしまいましたが、カメラの液晶で確認すると、彗星の尾が入りきっていないではありませんか。明らかに1等星カノープスを通り越しています。50ミリレンズ使用。

そこで広角の28ミリレンズに変えてみた所、月明かりの影響をかなり受けてしまいましたが、やはり彗星の尾はカノープスをかなり通り越しているのが分かります。小笠原とか沖縄〜西表島辺りにお住まいの皆様、尾が写りませんか?頑張って下さい。
私も星ツアーがあるので、月がない時に撮影出来るまでまだ数日かかると思いますが、天候を見ながら頑張ります。



2012年1月17日深夜撮影 
毎日スターウォッチングツアーにご予約を頂戴しており、彗星の撮影はその終了後になる関係で、ここ数日は月出時間との戦いでした。この日も予定撮影地にたどり着く前に月が出てしまうので、止むを得ず選んだ場所には薄い雲があったようで、彗星の詳細を撮る事が出来ませんでした。
ご覧の通り、薄い雲を通しての撮影になってしまいましたが、右手の画像を反転させたものと比べてみてください。見方によっては尾は画像を突き抜けているのかもしれません。このサイトでも相当尾の長さにこだわっておられ、その尾の長さは32度もあるとの事。もしそれが正しければ、この画像ではカノープスを中心にほぼ同じ長さの尾が存在している事になります。

そして望遠鏡による直焦点撮影です。彗星核はレチクル座に入り、随分と高く昇ってきた印象です。ご覧の通り、細長い彗星(核)は健在であります。最近、クロイツ群のカミカゼ彗星が沢山発見されていますが、このラヴジョイ彗星は大彗星の孫にでもあたるのでしょうか。
1965年出現のクロイツ群の親の親と言われた池谷・関彗星は直径が5キロありましたので、この200メートル彗星に比べれば月とスッポン。この後ろに子供がいて、その親がいて、またその背後に親がいるとすれば、これから数年間はクロイツ群彗星のオンパレードではないでしょうか。SOHOなどの衛星による観測も46年前とは違いますし、沢山の彗星が見られると良いですなぁ。

ここに掲載されている全ての写真は、その大きさを比較して頂けるようにトリミングしておりません。また著作権も放棄しておりませんので、リンクを貼って頂けない無断掲載に関してはご遠慮下さいませ。







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