ご存知でしたか?南半球だからと言って南十字星が
いつでも何処でも見られるとは限りません

クィーンズタウンは大丈夫ですけど




早速ですが、この写真をご覧下さいませ。




この写真は、クィーンズタウン空港の近くにある我家から車で10分弱の場所で撮影したもので、南十字星(正式名称みなみじゅうじ座)がほぼ逆さまになっているものです。撮影日時は11月初旬の23時過ぎになります。空の白みもやっと終わり、まさに暗くなったばかりで追尾撮影をしてみました。

南十字星は毎年11月頃に逆さまになり、毎年5月初旬の午後10時頃に頭の天辺にやってきます。


ご覧の通り、クィーンズタウンでは空気中に不純物が少ないので、地平線に近い天体もこの様にはっきりと見えます。
ちなみに太陽が西の空に傾いても眩しいままで、オレンジ色になっている姿を見た事がありません。空気が本当に綺麗なのです。


便宜上、他の主だった天体の名前も書き込んでおきましたが、注目して頂きたいのは南十字星と天の南極の2つです。


南十字星は天の南極のほぼ真下を左に向かって通過している最中で、まさに「下方経過中」であります。早い話、真南に位置しており、その瞬間が一番低い場所に位置するわけです。南十字星の4つの星の中で、「この時期」一番下に位置している黄色の星はガクルクス。下方経過時、この星の高度は12度強で決して地平線に沈みません。

しかし、これは南緯45度に位置するクィーンズタウンでのお話。


南十字星の右下に見えているオメガ星団のこの時の高度は3.5度程度。写真をご覧頂くと、オメガ星団の直ぐ下に山がありますが、なければほぼ地平線まで見渡せています。中々良い場所なのです。


しかし、世界中がこの様になるわけではありません。
地球は丸いので、緯度が赤道に近付くに連れてリギルケンタウルスもバット星雲も南十字星も地平線に沈む街や島国が沢山存在します


この写真で南十字星の一番上の星、通称アクルクスという一等星の高度は18度。南緯45度のクィーンズタウンで18度の高さに見えています。
という事は、45から18を減算しますと答えは27度。

そう早い話、南緯27度よりも赤道や日本に近い場所では、南十字星の4つ星全てが地平線に沈んでしまいます


それでは南半球にありながら南緯27度よりも緯度が低い主だった場所を書き出します。

ブラジル
サンパウロ(南緯23度33分)
リオデジャネイロ(南緯22度48分)


次に島国

タヒチ(南緯17度32分)
フィジー(南緯17度48分)
サモア(南緯13度50分)
ニューカレドニア(南緯22度16分)


最後はオーストラリア
ダーウィン(南緯12度24分)
ケアンズ(南緯16度55分)
エアーズロック(南緯25度20分)



これらの街や島では南十字星の4つの星全てが地平線に沈んでしまいます。

また、以下の場所では南十字星の4つの星のうち3つの星が地平線に沈んでしまいます

オーストラリア
ブリスベン(南緯27度28分)
ゴールドコースト(南緯28度00分)



一つだけ沈む所もあります
オーストラリア
パース(南緯31度57分)


それ以外の、特にオーストラリアの街では南十字星は4つとも地平線には沈みません。例えば

シドニー(南緯33度51分)
アデレイド(南緯34度55分)
メルボルン(南緯37度49分)

またニュージーランドの大都市オークランドやクライストチャーチでも大丈夫です。

オークランド(南緯36度50分)
クライストチャーチ(南緯43度31分)

ちなみにクィーンズタウンは南緯45度01分であります。


しかし、4つの星が全て見えても、真っ逆さまの11月を挟んで前後2ヶ月ずつ、早い話9月から翌年の1月頃までは、いずれも逆さまに近いポジションで地平線ギリギリに輝いており、街の南側に高層建築物や山があるだけで、南十字星は見えなくなってしまいます。

特に大都市であるブリスベン、ゴールドコースト、シドニー、パース、メルボルン、オークランド、クライストチャーチ等では高層建築物とネオンライトの影響で、街中にお泊りの際は南十字星は全く見えなくなると言っても良いかと思います。

こちらはシドニーの夜景です。




そしてこちらはオークランドの夜景です。




シドニーもオークランドも、光害の影響を受けない所まで行くには、車で数百キロ、そう何時間も街の中心から離れなければなりません。

逆に4つとも沈んでしまうタヒチ等の島口等では、夜明け前に辛うじて南十字星が4つとも地平線の上に昇っていますので、高層建築物のある大都市に比べて、条件が逆に良くなるかもしれません。

ただし夜明け前の午前3時や4時に起きなければならず、また昇っている南十字星を探すのも骨が折れますよ。何故なら、南十字星は左に傾いた状態になっており、綺麗な十字架を想像されていると、探し当てることはかなり難しいと言えるでしょう。

南十字星は全天88星座の中で最も小さいというのも条件を悪くしていますね。

もしかしたらホテルの南側に大きな椰子の木の森があったり、タヒチ等では南側に大きな山があるホテルもありますね。そうなると南十字星は見えませんよ。


ただクィーンズタウンでも街中やホテル前では街灯等がありますので、天の川に浮かぶ南十字星をご覧頂くには、郊外の真っ暗な所に移動するのが得策です。是非、スターウォッチングツアー等をご利用になり、真っ暗な所へ連れて行ってもらって下さい。郊外に出れば、この様な星空があります。星明りが眩しく感じる位、凄いですよ。

南十字星は、写真の右手下の方で正立しています。写真にカーソルを重ねると天体名称が表示されます



天の川がこれだけ明るいと、この明かりで影が出来るんですよ。

ツアーではレーザーポインターで星を指しながらのご案内や、大きな望遠鏡や天体双眼鏡などを使って、主だった星団や星雲等の天体をご覧頂きます。惑星が出ている時は望遠鏡で拡大してご覧になれます。月のクレーターをデジカメで撮るコーナーもありますよ。














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