南半球での極軸の合わせ方

日付や時間などを使った北半球での合わせ方と違って、はちぶんぎ座の台形を探すのに、少し骨が折れるかもしれません。




それではまず、赤道儀望遠鏡を設置しますが、大雑把に天の南極の方角に向けて下さい。この写真が参考になるでしょうか。一気に極軸望遠鏡の視野内に、目標であるはちぶんぎ座の台形を入れるつもりで参りましょう。


この写真は、NZ現地時間の5月5日、23時00分頃の夜空になります。その頃は、南十字が真上に来ており大変首が痛い時期でもあります。

詳しく申し上げると、はちぶんぎ座の台形はここにあります。


天の南極を探す方法は4つあると言われていますが、この方法は5つ目です。

ちなみに4つの方法とは

1、南十字の上と下の星であるガクルックスとアクルックスを結んで、4.5倍伸ばす
2、αとβケンタウリの間に垂直二等分線を引き、ガクルックスとアクルックスの延長線と交わる所
3、大マゼラン星雲と小マゼラン星雲を一辺とした正三角形を作った時の頂点
4、りゅうこつ座の一等星カノープスとエリダヌス座の一等星アケルナルを一辺とする正三角形の頂点

しかし、これだと正確な場所が大雑把過ぎますので、上の写真の様に「小マゼラン星雲」から捜して下さい。



まずは小マゼラン星雲を探して下さい。肉眼で簡単に探せます。
その直ぐ近くに輝いているみずへび座のβ星(2.9等星)を探して下さい。その延長線上にはちぶんぎ座のγ(ガンマ)星が3つ並んでいます。その先にはちぶんぎ座の台形があります。
しかし、この台形を作る4つの星は5.2等星から5.7等星までの大変暗い星ですので、これを探せた時の感動は一塩だと思います。

ちなみにクィーンズタウン郊外では、この台形が肉眼で見えていますので、一発で極軸視野内に台形を入れられます。皆さんは、双眼鏡などでその位置を確認されてからでも遅くはないと思います。


あとは、極軸望遠鏡内に台形を導入するだけです。事前に水準器などを使っての赤道儀の水平と、赤道儀の角度を、その地点の緯度に正確に合わせておかねばなりませんが。



何かしらの星が見えれば、まずはピンボケしていると思いますので、接眼部のダイヤルなどを回して視度を調整して下さい。

後はその台形と、このスケールの台形をピッタリと合わせるだけです。勿論、星は天の南極を中心に回りますので、季節によってははちぶんぎ座の台形は写真と位置が違いますのご注意下さいませ。

また大変苦労するのが、極軸望遠鏡に付属している明視野照明装置の明るさ。

某社の製品では明るさを一番暗くしても、この台形を司る4つの星は5等星と6等星に対しては明るすぎて、極軸の導入なんか出来やしませんのでご注意下さい。

また、明るさの調整が出来ない場合ですが、新品の乾電池を入れてしまうと、スケールが明るすぎて、はちぶんぎ座の台形が見えなくなります。私は、もうご臨終寸前の乾電池を使って、「ホタルの光」状態でスケールを浮かび上がらせて頑張っています。

それでも念のために申し上げておきますが、この極軸合わせでギブアップする方が大変多いのが現実の様です。





 残念ながら殆どの方がギブアップされています
 
 
 
デジタル一眼撮影コースに申し込んでおられるお客様の多くが簡易赤道儀などをお持ちになっていますが、やはり天の南極付近にはには明るい星がないので、結局のところ、極軸合わせを皆様ギブアップされています。

上の写真で、どこが天の南極かお分かりになりますか?星だらけで全くお分かりになられないでしょう。



この敗因の原因は

1、双眼鏡をお持ちになっていないからだと思います
2、極軸望遠鏡の像が逆さまになるので、台形が認識出来られないそうです
3、視力が悪い



天の南極を探す上で一番重要なのは、視力を良くする事だと思います。
上の説明で、八分儀座の台形が肉眼で見えていると書いてしまいましたが、日本からのお客様で台形が肉眼で見えられたのは一握りの方だけです。



スターウォッチングツアーの中でも、殆どが4等星で構成されているカメレオン座が見えない方が増えています。これらの方たちは、オリオン座の三ツ星の周辺には星が一つも見えないと仰います。



空が灰色になるほど星で埋め尽くされているのに
、視力が悪く3等星までしか見えない方がなんと多いことか。
まずその方は八分儀座のガンマ星3つも見えないし、当然八分儀座の台形も見えません。なぜならこれらは5等星と6等星で構成されているからです。

この様な方は、まず間違いなく双眼鏡を持参された方が宜しいかと思います



それと本当に全天が星に覆われているのを確かめる意味でも、眼鏡やコンタクトレンズで視力を1.5以上に調整するか、レーシック手術を受けて視力を回復しておくのを、お勧めします。


ちなみに私は25年前に日本を離れた頃、裸眼で0.08しかなく、眼鏡で視力1.2程度まで矯正していましたが、星を見続けているからだと思うのですが、年々眼鏡のレンズも薄くなり、現在の裸眼は0.4程度はあると思います。眼鏡も日本で視力1.2に合わせて作っていますが、どう考えても1.5は出ているみたいです。


出来ればもっと沢山の星を見たいので、視力2.0以上になりたいものです。南十字座のα星アクルクスが2重星であることを見極めなくても結構なので、もっと良くなりたいです。



ちなみにアクルクスが2重星であることを判別出来る視力は、視力7.0以上だと言われているるみたいです(笑)。

そこから双眼鏡を使うのが得策かと。視力が悪いと、小マゼラン星雲さえも認識出来にくいですからね。そうなるとどれが水蛇座のβ星かも分からなくなり、結局天の南極の場所を突き止めることは殆ど無理になると思います。

私が1986年に回帰してきたハレー彗星を南半球で撮った時は、7x50の双眼鏡を使って八分儀座の台形を毎日探したものです。


しかし極軸望遠鏡の視野は望遠鏡と同じで左右上下が全て逆さまに見えますので、双眼鏡との視野の違いから、やはり八分儀座の台形にたどり着けない方がおられます。


このままでは、何のために赤道儀という決して軽くはない重い荷物を持ってきたのか分かりませんよね。


直行便を運行しているのはニュージーランド航空と全日空の共同運航便だけで、預け荷物の重さは23キロまで。経由便のカンタス は少し多めの30キロ、その子会社のジェットスターは重さに比例して料金が上がります。


これでは撮影機材でギリギリだと思います。そこで、幾ら簡易赤道儀だからと言って、三脚も必要ですし、電池も必要です。

そこに双眼鏡も入れなければならないという事は、そう荷物のエキストラチャージは覚悟の上で、もう一つ23キロの荷物を持って来られるか、座席のクラスを上げ
るしかないでしょうね。

やはり道楽なのでしょうね。お金がかかるものです。



そこで、一眼デジカメ撮影コースなるものをご用意しておりますので、そちらをご利用になれば、郊外の真っ暗な場所にお連れして、こちらの赤道儀望遠鏡を使っての撮影が出来られますよ。

勿論極軸合わせの心配も不要です。




南半球の星空に戻る
ホームページ・トップに戻る




inserted by FC2 system